フィリピン人材を日本で雇用する場合でも、すべてのケースでMWO申請が必要になるわけではありません。
MWO申請が必要かどうかは、主に次の三つの要素をあわせて判断します。
・日本で取得する在留資格
・日本企業との雇用関係があるかどうか
・その就労がフィリピン政府の海外就労制度の対象に当たるかどうか
とくに判断の出発点として重要になるのが、日本の在留資格制度との関係です。もっとも、在留資格だけを見れば足りるわけではなく、
日本企業との雇用契約があるか、その雇用がフィリピン側で海外就労として管理される対象に当たるか、という点もあわせて確認する必要があります。
この解説ページでは、MWO申請が必要になる主なケースを整理し、どのような場合に手続が必要になるのかを解説します。
この解説ページの前提
本ページでは、検索上の分かりやすさを優先して、MWO申請、就労系の在留資格、特定活動、企業内転勤 という表現を用います。
また、本ページでは、就労系の在留資格を日本企業との雇用契約に基づいて日本で就労することを前提とする在留資格、特定活動を個別指定によって活動内容が決まる在留資格、企業内転勤を同一企業グループ内の人事異動として扱われる在留資格という概念で整理しています。
さらに、本ページでは、MWO申請の要否を 在留資格・日本企業との雇用関係・フィリピン側制度の対象性 の三つの視点から整理しています。
目次
MWO申請の要否は何で判断するのか
MWO申請が必要かどうかを判断する際、まず確認するべきなのが日本の在留資格です。
もっとも、在留資格の名称だけで機械的に判断できるわけではありません。実務上は、在留資格を起点にしつつ、日本企業との雇用関係と、その就労がフィリピン側で海外就労として管理される対象に当たるかをあわせて見る必要があります。
MWO申請の要否を判断する三つの視点
・どの在留資格で日本に在留するのか
・日本企業との雇用契約があるのか
・その就労がフィリピン政府の海外就労制度の対象になるのか
日本の在留資格は、大きく次の三つに分類して考えることができます。
- 就労系の在留資格
- 身分・地位に基づく在留資格
- 特定活動
このうち、MWO申請が必要になるケースの多くは、就労系の在留資格で日本企業に雇用される場合です。
フィリピン政府の海外就労制度は、フィリピン人材が海外企業に雇用される場合の保護制度として設計されています。
そのため、日本企業と雇用契約を結び、日本で就労する場合には、MWO申請が必要になるケースが多くなります。
この二重構造は、MWO制度と日本の在留資格制度|フィリピン人材受入の二重構造 でより詳しく整理しています。
MWO申請が必要になりやすい主な在留資格
MWO申請が必要になるかどうかは、日本で取得する在留資格によって大きく変わります。
日本企業がフィリピン人材を雇用する場合、MWO申請が必要になりやすい主な在留資格には次のものがあります。
- 高度専門職
- 技術・人文知識・国際業務
- 教育
- 介護
- 技能
- 特定技能(1号・2号)
これらの在留資格では、日本企業と雇用契約を結び、日本国内で就労することが前提となるため、
フィリピン政府の海外就労制度の対象となり、MWO申請が必要になるのが基本です。
なお、技能実習制度による受入についてもフィリピン海外就労制度の対象となりますが、
技能実習では申請主体が企業ではなく監理団体となります。
本サイトでは、主に企業が主体となるMWO申請を中心に解説しています。
また、在留資格の種類によってMWO申請の制度そのものが変わるわけではなく、基本的な手続構造は共通しています。
手続の基本構造は Company Accreditationとは|MWO申請の基本構造 でも整理しています。
MWO申請が必要になる代表的なケース
実務上、MWO申請が必要になるケースは大きく次の三つに分けて整理できます。
フィリピンから新規採用する場合
フィリピン在住の人材を新たに採用する場合、MWO申請が必要になるのが一般的です。
この場合、日本企業の情報や求人内容をMWOに登録し、その後フィリピン政府の海外就労制度に基づく手続を進めていきます。
制度上は、通常 Company Accreditation(企業情報登録) が問題になります。
最終的に、労働者本人は OEC を取得し、日本へ渡航することになります。
日本国内で転職する場合
すでに日本で働いているフィリピン人が、日本国内で別の企業に転職する場合にも、MWO申請が必要になることがあります。
この場合は、通常の Company Accreditation とは異なり、
Balik-Manggagawa Contract Verification(既存の海外就労記録がある人材の雇用契約確認手続) と呼ばれる手続が問題になります。
国内転職の場合の手続については、Balik-Manggagawa Contract Verificationとは|国内転職者のMWO手続 で詳しく解説しています。
在留資格を変更して就労する場合
留学生などが日本国内で在留資格を変更し、就労を開始する場合にも、MWO申請が必要になることがあります。
たとえば、留学の在留資格から技術・人文知識・国際業務などの就労系の在留資格へ変更するケースです。
ただし、この場面は一律に扱えるわけではありません。
在留資格変更後に日本企業との雇用関係がどのように成立するか、
そしてその就労がフィリピン側で海外就労制度の対象として扱われるかによって、判断が分かれることがあります。
判断が難しい案件全体は MWO申請で企業が悩むポイント|制度理解と実務のギャップ でも整理しています。
図解|MWO申請が必要になる典型的な流れ
フィリピンから新規採用する場合、制度上の基本的な流れは次のようになります。
日本企業
↓
MWO申請
(Company Accreditation)
↓
MWO承認
↓
DMW側での登録・募集準備
↓
人材募集
↓
面接
↓
内定
↓
在留資格認定証明書交付申請
↓
在留資格認定証明書(COE)交付
↓
査証申請
↓
OWWA加入・PDOS・健康診断
↓
OEC取得申請
↓
OEC取得
↓
日本で就労
MWO申請は、人材募集や面接よりも前に行われる制度上の手続です。
全体の工程は MWO申請からOEC取得まで|フィリピン人材受入の手続の流れ でも整理しています。
判断が分かれやすいケース(特定活動など)
在留資格の中には、MWO申請の要否がケースによって変わるものもあります。
その代表が「特定活動」です。
特定活動は、法務大臣が個別に活動内容を指定する在留資格であり、就労の可否や活動内容が個別に決められます。
そのため、特定活動の在留資格では、MWO申請が必要になるケースと不要になるケースが存在します。
具体的な判断は、雇用形態や活動内容によって異なるため、個別に確認する必要があります。
特定活動で確認したいポイント
・日本企業との雇用契約があるか
・活動内容が就労として位置づけられるか
・フィリピン側で海外就労制度の対象として扱われるか
補足|企業内転勤では通常MWO申請は行われない
フィリピン人が日本で働く場合でも、MWO申請が不要となるケースがあります。
その代表的な例が「企業内転勤」の在留資格です。
企業内転勤は、日本企業と新たに雇用契約を結ぶ制度ではなく、海外の関連会社から日本拠点への人事異動として扱われる制度です。
MWO申請は、フィリピン人材が海外企業に雇用される場合の保護制度として設計されているため、
同一企業グループ内の転勤については制度の対象外として扱われることが一般的です。
MWO申請が不要となるケースもある
また、次のような在留資格では、MWO申請が不要となるケースが一般的です。
- 永住者
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
これらは身分・地位に基づく在留資格であり、就労活動に制限がないため、フィリピン政府の海外就労制度の対象とならないケースが多くなります。
MWO申請が不要となるケースについては、MWO申請が不要になるケース|どのような場合に手続が不要か で詳しく解説しています。
まとめ
MWO申請が必要になるかどうかは、主に次のポイントによって判断されます。
- 日本の在留資格
- 日本企業との雇用契約の有無
- フィリピン政府の海外就労制度の対象となるかどうか
とくに、就労系の在留資格で日本企業に雇用される場合には、MWO申請が必要になるケースが多くなります。
ただし、日本国内での転職や在留資格変更など、実務上は判断が難しいケースも少なくありません。
MWO申請は、日本の在留資格制度とフィリピンの海外就労制度という二つの制度が重なる領域で行われる手続です。
そのため、制度の仕組みを正しく理解したうえで判断することが重要になります。
個別案件として整理したい場合
自社案件でMWO申請が必要になるかを確認したい場合や、
在留資格、雇用形態、国内転職や在留資格変更の扱いまで含めて進め方を整理したい場合は、
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フィリピン人材受入に関わる制度と手続は、
OFW制度・MWO制度・MWO申請
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以下の全体像ページをご覧ください。